天国への誘い          

今回のご相談者は50代の女性である。


 この方は当心霊なんでも相談室には、以前から時々お出でになっていた。

非常に霊的能力に優れた方である。

今回は、初めて自分の前世を知りたいと言われおみえになったのである。

ところが、前世を調べようとご相談者の魂を私の中に呼び込むと、前世の因縁、怨霊が憑いていた。

それどころか既に地獄の淵にぶら下げられていたのだ。



では、この女性が地獄の淵に落とされ魂が助けを求めている箇所からの一問一答。

「おい、玲子(仮名)入って来い・・・玲子入って来い」

とご相談者のお名前を呼ぶ。

すると直ぐに入って来た。

が直ぐに入って来たにはそれなりの訳がある。

その訳とは、前世の因縁や地獄の淵に屯する化け物に憑かれていたのだが、事前にその化け物や前世の因縁を除けていたのだ。

だから何も邪魔をするものはなく、私の呼びかけに直ぐに応じることができたのだ。

 

「お前は玲子に間違いないのか?」

と再度訊く、が

「藪の玲子に間違いありません」

ここまで念を入れてきいたのだ。

藪の玲子に間違いはないだろう。

「ならば、今お前はどこにおるのだ」

「こ、ここはなにか、真っ暗闇でございます」

「真っ暗闇か?」

「真っ暗・・・なんかザワザワザワしております」

「お前が視えるものを全部言ってみよ」

「殆ど何も視えないんですけど、ただ、ここには何かヘンなものがうじゃうじゃうじゃうじゃ」

「お前の足元はどうなっているのだ」

「あ、足元はなんかヌルヌルヌルヌルしております。なんか水の中、アクと云うんですかヌルヌルして気持が悪いんです。そして足元にはヒルみたいなものがいっぱいおって、足のところをザワザワザワザワ上がってくるのです。それで手も縛られて動かないんです」

「お前、手を縛られているのか」

「手をうしろで縛られて動けないんです。そして私の耳元でザワザワ聴こえて・・・」

化け物の巣窟にいるのだから、ザワザワするのもしょうがない。

「そこには林があるのか?」

「ここは林の中と言うか、谷のようなところでございます。こ、ここは寒いんです。も、物凄く寒くて何時もなにかザワザワしていて落ち着けないところでございます」

また、ここも血の海地獄なのか。

「では、足にはヒルのようなものが這って痒いと云うのか」

「痒いと言うよりも 気持が悪いのです。そしてこのなんか、カラスみたいな鳥の羽音がパタパタするし、そしてなんかもう、こう ”ウオーッ”と聴こえてみたり、なにしろ気持が悪いんです」

「あと、視える所を全部云うがいい」

「あと視えるところ?今、全部云っておりますけど、、、、」

「では、手は後ろに縛られていると云う事か」

「さようでございます」

「今は立たされているのか」

「立っている、と云うより、首を吊られている状態です」

「なに、お前も首を吊られているのか」

「さ、さようで、首を吊られて手をうしろに縛られて・・・」

「ではそこは地獄の入り口ではないか」

「さ、さようでございます。地獄の入り口にぶら下げられている状態でございます」

「よし分かった。では我がそこから助けてやろう」

「ああっ、ありがたき、ありがたき幸せで・・・」

 

やはり地獄の淵に落とされていた。

そう言えば、前もこの方と同じように地獄の淵にぶら下げられていると云っていた魂がいた。

その魂の足元にもヒルのようなものが這っている、と云うような事も。

やはり前回の方と同じだ。

実際、前回のご相談者は下肢静脈瘤におかされ、痒くてならないと云っていた。

そして今回のご相談者も足が痒いという。

   

かいかい病という、体のあちこちが痒くなる奇病がある。

しかし、その原因は医学的には未だに分からないという。

がこの痒くなる原因は体ではなく、魂にあるのではないだろうか。

今回のご相談者も、前回のご相談者も同じように足が痒いという。

それも、魂の足には、ヒルが這っていた、と。

その魂の痒みが、人間に影響を及ぼしていたのだ。

もはや疑う余地はないだろう。

魂の痒みや痛み、それがそのまま肉体に影響を及ぼしているのだ。



 

「よし、では上に引き上げてやろう」

と云うことで早速地獄の淵から引き上げることになった。

「あっ、ありがき、有り難き幸せでございます・・・」



 そして、上に引きあげる動作に入り、数分後・・・。

「ウガガガッガガガガ・・・・ググググウウウウウ・・・ウグッウワーッ・・・」

と奇妙な声を張り上げていたが

「あっここは、ど、どこでしょうか?」

と、突拍子もない声を張り上げる。

天国の入り口に着いたのだ。

「そこには何が視えるのだ」

「どこ・・・?私なぜ、こんなとこに居るのでしょうか?」

暗い所から突然明るい場所に出たため魂が錯覚を起こしている。

「なぜ、こんなとこではない?そこにあげたのだ。そこはどのようなところだ」

「ここは、なんかえらい匂いが、香水まいた様な・・・綺麗なお花畑でございます」

「お花畑か、そこにはどのような花があるのだ」

「ここのお花は、なんか黄色の花ですけど、ピンクのお花とか、黄色とか赤とか、色んなお花がいっぱい咲いております」

「その花の背丈は高いのか、低いのか」

「は、花の背丈?低い、小さなお花がいっぱい、いっぱい、ここ一面お花だらけでございます」

「そうか、空気はどうだ」

「空気と言うよりも、空が青々澄み渡っていて、ずーっとどこまでも真っ青でございます。うわーっ!空気が・・・あーっ気持がいい!!・・・ああっー!ああっ気持がいい、ここ、ここはどこですか?こんな綺麗なとこ私生まれて初めてでございます。うわーっき、ああーっ!ああーっ!ああーっ・・・」

あまりも綺麗な景色に感動している。

「その他には何が視えるのだ。視えるものを全て喋ってみよ」

「ああっ〜あまりにも空が青々して、雲ひとつありません〜・・・そして見渡す限り何処までもお花畑が・・・うわーっ!綺麗!ああっ、なんか向こうの方に、なんか女の人が、女のひとが歩いております。女の人が手を繋いで、あっ、一、二、三・・・あっなんか、皆こうにこしながら、う、歌を歌っているのでしょうか?なんか綺麗な着物を着て・・・うわーっ!!楽しそう・・・うわーっ!綺麗、なんかあっちにもこっちにも、なんか皆、三四人で手を繋いで、なんか楽しそうに、にこにこ・・・ああっ綺麗!こんな綺麗なとこ、私夢を視ているんでしょうか?」

「夢ではない。お前が現実にいま、居るところなのだ」

「いや、なんで?どうして私こんなところに来たの???」

「我があげたのじゃ」

「ああっ、さようでございますか・・・ところであなた様はどなた様でしょうか?」

「我は神じゃ」

「かかかか・・・」

「お前の願いを叶えたのじゃ」

「ああ、あっ、ありがたい・・・」

「お前が前に居た所を覚えているか」

「前と言うか、前は真っ暗闇、ここと天と地の違いが・・・ここは綺麗!あらっ、蝶々、蝶々が飛んでおります・・・うわー!!ここになんか綺麗な水溜りがあります。ちょっとそこまで行ってもいいでしょうか?うわー綺〜麗!ここの水は透き通っている・・・うわー!!ちょっと飲んでいいですか?」

「飲んでみるがいい」

「うわー、ンッンンングンングッググ、フーッ美味しい、うわっ!ここ、ここの水は冷たい!ああっ冷たい、なんでこんなに美味しいんでしょう・・・ああっ私夢みたい、私夢見たい!!!」

「おい、そこには山などはないのか」

「やま?山と云うより見渡す限りお花畑でございます・・・すごーい!そして皆、皆手を繋いで楽しそうに、楽しそうに遊んで・・・ああっ、うわー綺麗!どうしてこんなに綺麗なんでしょう・・・私こんなとこ、私あのう〜・・・暗い地獄にまた落ちるのでしょうか、、、、?」

「もう落ちる事はない。そこがこれからお前の過ごす場所だ」

「私こんな綺麗なところで・・・私こんな綺麗なとこに棲んで、私罰が、私こんな格好をしているのに・・・ああっ!みんな綺麗な、皆お雛様のような顔・・・格好した人ばっかしで」

「そこには男はいないのか」

「あっ、男の方でございますか?男の方もおります・・・なんか、男の方も、なんかお殿様のような方ばっかし、いっぱい、ああーっ、皆女の方と手を繋いで、やっぱしみんな、なんか踊っております・・・ああっ、なんか楽しそうに・・・うわー!綺麗、私ここでどうしたらいいんでしょうか?」

「そうだなぁ、ところでお前、額のところに手を当ててみよ、人間界が見えるぞ」

「えっ額のところでございますか」

「そうじゃ額に手を当ててみよ」

「ああっ分かりました・・あっ、ここはどこですか?なんかキラキラキラキラ光って・・?光ってる。 あっなんか目の前に、あらっ、なんか男の、あらっこれ、あなた様ですかねー」

「そうじゃ、なぜ我と分かるのじゃ」

「いえいえ、声と、あなた様の、なんか光の中に、なんか人間の形が」

「光の中に人間の形があると云うのか」

「さようでございます。あなた様の、なんか神々しいお姿が、あっ、ここはお部屋ですか?ここは」

当相談所

「そうじゃお前が居る所じゃ」

「うわー私、ああー、ここのお部屋も綺麗なお部屋でございますねー、キラキラ輝いております・・・ああっ、これが人間界でございますか」

「そうじゃここは人間界じゃ。お前は今まで人間界は視えなかったのか」

「人間界は、前は、私は目を瞑って視ておりましたが、私が地獄におったとき、同じように私が苦しんでいる姿がみえておりました。だけど今、ここはもう全く別天地でございます・・・ああっ、あり難い、ありがたい」

「そこに居る人間を良く視てみろ、頭に紐が付いていないか」

「えっ紐でございますか?・・・あっ、なんかほそーい紐が、そしてなんか良くみると、なんかほんとうに皆、額のところに手を当てて視ておりますね」

「そうじゃ、みんな人間界を視ているのじゃ」

「さ、さようでございますか」

「ところでお前、うしろ振り向いてみろ」

「ん?、うしろ?後ろ向けません」

「そうだろう。そのうしろが人間界に繋がっているからだ」

「さ、さようでございますか、私のうしろ人間界に繋がっているのですか」

「そうじゃ」

「ああっ、私ちょっと、散歩と云うより、ここの周りを視てまわって宜しいでしょうか?」

「そうだなぁ、視て周るがいい」

「私、あなた様と離れたらまた地獄に堕ちるのじゃ・・・」

「もう地獄に堕ちる事はない、心配するな。ゆっくり視て歩け。今後はお前が棲むところじゃ」

「ああっ、ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます・・・」

と感謝の言葉を述べ離れて逝った。

 

今回のご相談者の魂も地獄に淵にぶら下げられ、あわや堕ちる寸前の救済だった。

もし、今回私との出会いがなければ、死後、間違いなく地獄の穴に落とされていた筈だ。

こうして、落とされる予定だった魂を天国の淵まで導いたのだ。

地獄に仏?とはこのような事を云うのだろう。

しかし、いつ覗いても天国は綺麗なところだ。

辺り一面お花畑、香水を撒き散らしたような芳しい香り。

澄み切った青空・・・

清水のように湧き出る水・・・。

 

がなんだか遠い昔、どこかで見たような、想いで深い、懐かしい郷愁に誘われる風景である。

この情景には、なぜか、幼き頃の想い出が蘇る。

私が幼少の頃、どこの田舎でもありふれた、見慣れた光景だ。

あたり一面お花畑、と云って思い浮かべるのは、れんげ草であり、菜の花であるが。

そのお花畑では、霊界への待合所のように牛や馬がのんびり草を食んでいる。

その景色が、おぼろげながらではあるが記憶の片隅にしまわれていた。

その一端を呼び覚ましたようだ。

清水も山の麓に行けば至る所から湧き出て、空も青々と果てしなくどこまでも澄み渡っていた。

ただ違うのは、大人や子供の服装、それに家屋敷、周りの環境だろうか。

”豪華”とはまるで縁のない、私の幼少時代。

よれよれというか、継ぎはぎだらけの服を着、鼻水を垂らして道端で遊んでいた子供の頃。

それに食べ物。

今では健康に言いと持ち上げられている粗食。

所謂、楕円形のご飯の中心に黒い筋が通るように横線が入ったものが混ざっていた事だろう。

田園風景だけをみると天国の傍や待合所(三途の川)とあまり変わりないようにも思える。

と云う事は、飯や服装等を抜きにして、昔は、天国の傍に程近い、のどかな環境が身近にあったったのではないか、と思うのは私だけだろうか。

それに電化製品も何もなかったが、別に不自由はしていなかったようにも思う。

私の幼き頃の思い出だ。

その頃は牛や馬が農作業の主役を担っていた。

道も舗装されておらず、でこぼこの道路に土や石がむき出しになっていた。

運動会の朝は、生卵を飲み、辺りに点々と散らばる馬の糞を踏んで登校したものだ。

馬の糞を踏むと、足が速くなると云う言い伝えがあったためだが。



それにしても、今回ご相談者を上に引きあげるのが少し早くはなかったか?

前世の怨霊が”まだ他に男や女がいる”と云っていたのに。

突然引きあげたため、残された怨霊たちに肩透かしを食らわせたようなものなのだ。

もう少し後にすれば少しでも多くの怨霊を救えた筈だが。

如何なものだろうか?

 

更に、前回上に引きあげたご夫婦の事だ。

奥様から3,4日毎に”またおかしいのですが?”とお電話が入るのだ。

お話をお聴きすると、きつそうに、消えいりそうな小声で話し始める。

その原因は、と調べてみると先祖だったのだ。

怨霊や化け物を除け天国にあげたご相談者に先祖が憑いていたのだ。

せっかく霊のいない天国の入り口まで導いたつもりが、今度は先祖の禍だ。

それも殆ど縁の薄い輩だ。

この先祖達は一喝して、そのつど離してはいた。

が、何時まで経っても尽きない先祖の禍。

このほとほと迷惑な先祖をどうすれば来なくなるようにできるのか?

と色々考えた末、魂の頭上に先祖と繋がる紐が伸びている事に気づいた。

この紐を切れば先祖との縁は絶てるのではないか、と考えたのだ。

そして潔く紐を切ってやった。

すると、先祖からの禍はなくなった。

やはり、頭上に伸びるほそーい紐が先祖へと繋がっていたのだ。

子孫が自分達先祖より高い所(天国)に昇ったため、自分達も、とあわよくば天国に入れるのでは、と 上に昇った子孫の紐を引っ張り下(闇)に落としていたのだ。

その度に”おかしい?”と云ってご相談者から連絡が入っていたのだ。

で今回の魂が入った場所は、前回導いたご相談者の魂とほぼ同じところのようだ。

だが、此処は天国の入り口でもわりと下の方ではないかと想われる。

それは、お花畑の中だと云っていた事からだが。

私としては誰しも、同じように天国の入り口まで導いているつもりだが、人それどれと云うか、やはり前世の所業が関わっているのか、天国でも入れる場所が多少違うように感じる。

天国の上層階では、金の馬や牛が空を飛んでいると云うことを訊いていたからだが。





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